49日を考える➁

 10年前、四十九日を終えたあるご家族の奥さんがこう言った。『あの人(主人)はいまどのような状態でしょうか?浄土に生まれる、と言っても、納得できません。』ー通夜・葬儀のあと、すぐに日常の生活がやってくる。朝起きて、仕事に戻り、学校生活に戻り、帰宅し、夜は眠りにつく。新聞やニュースで流れているように、世の中はいつも通り回っている。誰にも言えない感情を抱きながら、日々を過ごす。
 前回のブログでも書いたが、インドから伝わった仏教が形を変え、日本でも多くの宗派ができた。教えも考え方も違う。でも、時代が違っても、インドの人も、中国の人も、日本の人も、ぼくも。大切な人が亡くなったら悲しい。
 葬儀後、初めての仏事である『49日』。お参りが終り、古川さんの御家族と食事をいただいた。その時、古川さんの娘さんが言った。『昔、父が門徒さんに法話をしているところを一度だけ後ろで聞いていたことがあるんです。その時の話しと、父の通夜の時に住職さんがお話ししてくれた内容が重なるところがあったので、ちょっと涙がでました』と。娘さんは長い時間を経て、今また仏さまのみ教えを味わうご縁に出遇われたように思う。
 生きていれば解決できない問題がある。すぐには出ない答えがある。でも、阿弥陀如来さまはずーっとわたしを見守ってくださっている。
 『ひとりじゃないぞ』と。
 亡きひとも、生きているぼくも、ともにあみださまの温かいお慈悲のこころに包まれている。お経に、み教えにそのお心を訪ねていく。
 葬儀に続く、最初の大切な御法事。
 それが、浄土真宗の49日。ナンマンダブツ。