昨年の10月に本堂の改修工事を行った。役員さんと建物に関する話し合いを重ね、工事の計画が進められていった。
お寺の問題点はたくさんあった。ひとつは本堂の参拝者部分、いわゆる外陣(げじん)といわれるところの床がぬけそうなこと。天井や壁もシミが多く、本堂横の応接間もモノが散乱しており、なんの部屋かわからない状態になっており、この部屋も本堂同様、床がぬけそうになっていること。そして本堂玄関の廊下から庫裏に繋がるカーペットがボロボロの状態で、元の赤色が、焦げたような黒色になっている箇所も複数あること。庫裏と参拝者の共同トイレは立小便器が2台設置され、そこに仕切りは無く、女性が気軽に個室に入ることが難しいこと。手洗い場は台所風でお湯はでない。そして納骨堂の廊下の天井から雨漏りがするということ。これらの問題を役員さん達とじっくりと話しあい、『建物の内部は年内に。来年の春には屋根の補修をして今回の改修工事とする』という結論に至った。去年の本堂工事の様子は西光寺寺報『心VoL.1』にも掲載したとおり。いよいよ屋根の塗装の段階に入った。昨年から僕も、何度も屋根を上っているが、広範囲にわたり細かな錆が確認され、鬼瓦もヒビや錆が目立っていた。以前のお寺の場所から移転し43年間、こうした改修工事はなかったそうだ。『うちの家も大体40年弱。お寺さんと同じくらいさ。よくわかるわ。』『今まで一度も大きな工事とかなかったもんね』とご自分の住まいと照らし合わせ、実に多くの方々に多大なるご理解をいただいたように思う。中には今回の改修工事の案内や事の運び方に関して、厳しいご意見もいただいた。でも、そんなストレートな意見も有難く受け止め、自分の至らなさを改めて気づかせてくれた。
遠くから眺めていてはわからないことがあり、近くで触れてわかることもある。逆に、近すぎて、少し距離を置いた方がよく見える場合もある。
人も、寺も、生きている。
今回の改修工事でご理解とご協力をいただいた御門徒のお一人お一人に心より感謝を申し上げます。
これからも、みなさんの拠り所になれるお寺を目指し、できることを少しずつ。一歩一歩、着実に歩んでまいりたいと思います。
屋根も生きている
