(前回の続き)お参りの約束の時間に遅れてしまい、ストレートに怒られたことがある。
お坊さんは経験されている方が多いかもしれない(そういう人と気持ちをわかちあいたい。笑)
読経後に、お寺の相談もあれば、亡き方との思い出を聞かせていただく場合もある。涙を流している人を目の前に、すぐに「お参り終わったんで、次控えてるんで、じゃっ」などとは絶対に言えないし、言わない。
忘れもしない、疲れもピークの最後の家。予定時間を1時間以上オーバーし、申し訳なく家に入るなり玄関先で頭を下げた。すると、腰の曲がったおばあちゃんが「まぁ、疲れたでしょ。まずこっちでお茶飲みなさい」と笑顔で温かく迎えてくれた。まさに神…じゃなくてほとけさま。
そこからなんと、40分。おばあちゃんがしゃべる、しゃべる。それがまたおもしろくて、ついつい聞き入ってしまうほどのトーク力。あれ?おれ何しにきたっけ?というくらい、「お盆参り」が本来の目的なのに話しに花が咲いてしまった。これはいかん、と思い「そろそろお参りを…」と言って一緒にお仏壇で手を合わせる。帰りにボクがおばあちゃんに「ボク北海道から初めて愛知県に来たんですけど、お仏壇を目の前にしたらなんだか遠いところにきた気がしなくなりますね~」と言うと、おばあちゃんが一言。…ナモアミダブツの前ではな…。
人生の先輩が放った、短いことば。
ボクの初めてのお盆参り。たった一言でジーンとくる感動を味わう、忘れられない日になった。
お盆こばなし➃
