お盆には多くの方が里帰りをして、お墓や納骨堂のお参りに行く。大切な方に会い、それぞれが手を合わせる中、近況を報告したりする姿も見られる。西光寺も例外ではない。東京や関西、九州など遠方で暮らしている方々も、この時ばかりは最北の街・稚内に帰省し、お寺に足を運んでくださる。
夕暮れ、お寺の見回りで納骨堂に行くと、あるお家の納骨壇に珍しいお供え物が上がっていた。
見覚えのある「Ⅿ」のロゴが散りばめられた紙に包まれた、ハンバーガー。初めて見るお供え物だったので、思わず笑ってしまった。しかし、日持ちしない食べ物ではあるので、このままにしておくわけにはいかない。さて、どうするか…。その納骨壇の名義人である御門徒の方に連絡を取ってみた。「あぁ、それは多分妹がお供えしてったものだと思います!いや、住職すみません!生ものだし、お供えにはふさわしくないですよね!すぐに、あとで私が下げに行きますから」と。そのあとに続けて一言。「母ね、ハンバーガーが大好きだったんですよ…」
ボクはこの一言、すごく、すごーく大事なことだと思う。
その人が好きだったものをお供えしたい。一緒に食べたときの姿、喜んでいる姿、笑っている姿。その大切な記憶とともに、お店でお供え物を選んでいる時間。
大好きな人と、大事な人と再び出会える瞬間でもある。
阿弥陀経というお経に「お供えもの」の描写がある。「極楽浄土の朝はすがすがしく、四六時中美しい花びらが降ってくる。浄土に住んでいる人は、その花びらを花かごに入れ、たくさんのほとけさまがたを供養してまわる。そして、お昼前には自分の場所にかえってきて食事をとり、その後散歩をする」と。ほとけさまの世界の情景が、清らかな描写で説かれている。
「母はなんでも食べたけど、ハンバーガは特に好きだったね」
ボクは、その方のお母さんの写真から、とびきりの笑顔をもらった。
おぼんこばなし➄
